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修平の視察報告

博多港の港湾戦略、福岡県の空家対策を行政調査

平成30年1月29日(月)

-都市住宅常任委員会視察-

●博多港とアイランドシティ

博多港では年間約90万TEU(世界標準の20フィートコンテナの数量)の取扱量があり、日本の主要港では第6位に位置しています。第4位の神戸港(年間約249万TEU)や第5位の大阪港(年間約195万TEU)と比較すると少ないものの、(株)ブリジストンの発祥の地でもあることから、タイヤなどのゴム製品をはじめ自動車やバイクなどを中心に、対アジア輸出は年々増加傾向にあります。

また、同港はガントリークレーンを9基備え、迅速な在庫管理や貨物管理と効率的な荷役作業を両立するため、「HiTS」と言われる物流ITシステムが導入されており、コンテナの状況をリアルタイムで把握することが可能です。そうした徹底したITシステムにより、ゲートでの手続き時間は平均1分まで短縮しています。
さらに、全国初のコールドチェーン(※)が採用されるなど、大阪の港や市場にも有用な取り組みが行われています。

博多港が整備されているアイランドシティは港湾ゾーンのほかに、産業・研究開発ゾーンや住宅ゾーン、複合・交流ゾーンなどが整備されています。エリア面積は約401haで、総事業費は3,940億円。
産業・研究開発ゾーンでは平成24年度から3年間、土地代の30%および建物の建築費の10%が補助される福岡市独自の立地交付金制度が創設されたことにより、事業所の立地が進み、エリア内の約7割が分譲済みとなっています。また、住宅ゾーンのうち、76%(平成29年3月末時点)が分譲済みとなっています。
住宅ゾーン内には福岡市立こども病院や高度多機能型リハビリテーション病院なども整備されており、子育て・福祉環境も充実しています。また、平成30年秋には国際大会も開催できる西日本最大級のアリーナを持つ福岡市立体育館もオープンする予定で、福岡市内でも随一の高付加価値住居エリアに成長しています。

●福岡県の空家対策

全国的にも、適切な管理が行われていない空家が防災・衛生上の観点から、地域住民の生活環境に悪影響を及ぼしている中、福岡県では県内市町村や宅地建物取引業協会などの関係団体と連携し、「空家対策連絡協議会」が設置されています。
大阪府においても、同様の協議会は設置されており、各市町村との連携のもと、空家実態把握調査や対策計画の策定が進められており、併せて、空家を所有する方と空家を希望する方をマッチングする「空家バンク」の設置も進められています。

福岡県内で実施されている「空家活用モデル普及促進事業」では、売却が困難な空家を民間事業者がリノベーションし、一戸建て住宅をワンルームに改修したり、税法上の優遇措置が受けられる福祉施設に低コストで利活用を図り、市場に乗せにくい空家を福祉目的に転用するなど、各市町村で様々なモデル事業が積極的に行われています。

一方で、空家をさら地にすると、固定資産税の減免がなくなり、税額が6倍に跳ね上がることから、空家のままで放置されるケースも多く、今後、「税と空家のあり方」を協議する場が必要であると考えています。
また、河内長野市をはじめ府内各市町村が人口減少問題という大きな課題に直面する中、「不動産の流動化」を促す施策を推進するなど、課題解消に向けた施策を積極的に提案してまいります。

(※)コールドチェーン
  輸送や保管から競りまで低温を保つ物流方式

▲博多港内にて

▲博多港内にて

▲ガントリークレーンが並ぶ博多港

▲ガントリークレーンが並ぶ博多港

▲福岡市の担当者から説明聴取する様子

▲福岡市の担当者から説明聴取する様子