TOP > 修平の視察報告 > 千葉県流山市の子育て施策を行政調査

修平の視察報告

千葉県流山市の子育て施策を行政調査

令和6年1月17日(水)

-個人視察-

●流山市の人口推移

流山市は千葉県北西部に位置し、面積は約35k㎡で人口は約21万1千人(令和5年12月現在)。平成16年までは人口約15万1千人でしたが、東京都内に直結する「つくばエキスプレス」が開業した平成17年以降、駅周辺と沿線の開発が進み、令和4年までに約5万8千人が増加しています。
この間、人口増加率は全国792市中6年連続1位(平成28年~令和3年)、転入超過数は5年連続1位(平成28年~令和2年)を誇ります。

また、令和5年4月現在の市の人口構成は「4歳以下人口」および「5~9歳人口」が、団塊世代を含む「70~74歳人口」および「75~79歳人口」を上回っています。
さらに、合計特殊出生率は1.56(令和3年現在)で全国(1.30)や千葉県(1.21)を大きく上回っています。

●流山市のマーケティング戦略

流山市ではめざす都市を「商品」に見立て、イメージアップを図るためのマーケティング戦略を行ってきました。
そして、住民誘致のメインターゲットを「共働きの子育て世代」と定め、仕事をしながら子育てしやすいまちづくりをめざして、様々な施策を展開しました。また、市のキャッチフレーズ「母になるなら、流山市。」は大変話題になりました。
また、質が高く、集客力のあるイベントや地域資源を活かしたツーリズムなどの交流人口増加に向けた取り組みも充実しています。

●流山市の特徴的な子ども・子育て施策

流山市はマーケティング戦略を定め、まちのブランディングとシティプロモーションを展開した全国でも初めての自治体です。
特徴的な子ども・子育て施策の一つ目は、市外でも働きながら子育てできるまちづくりをめざし、子どもを駅で送迎する「駅前送迎保育ステーション」の設置し、保護者の時間確保と負担軽減を図っています。
また、学童保育における待機児童ゼロなどを達成しています。

二つ目に、子どものそばで働けるまちづくりをめざし、「女性向け創業スクール」を創設し、創業コンシェルジュ機能の強化や物流センター内に保育所を整備するなど、女性の「自己実現」を後押しする施策が展開されていることも特徴の一つです。
また、ひとり親家庭向けに、約3万5千円/月の塾代を助成するなど、家庭の経済事情に左右されずに学べる環境が整備されていることも特筆すべき施策でもあります。

●大阪府と河内長野市における活用方策

人口減少や急速な少子高齢化が最大の課題の一つでもある中、共通する地域課題を抱えている府内市町村は少なくありません。
府が実施する私立高校授業料無償化制度が府民から高く評価されている現状を踏まえると、広域自治体も基礎自治体ともに「選ばれる」ための特徴的な施策展開が必要であることは自明です。

また、流山市の地域区分が低く、それが保育士への報酬に反映されることから、市独自に4万3千円/月(正規保育士)を上乗せして支給し、保育士不足の解消を図っていますが、そのうち千葉県が1万円分を拠出しています。
同様の課題を抱える府内地域もあり、今後は府が千葉県と同様の取り組みの実施を検討し、府政が抱える諸課題に対応する必要があります。

 

▲駅前送迎保育ステーション

▲ステーション内の送迎バス停留所

▲流山市役所前にて

▲流山おおたかの森駅前のイベントゾーン