修平の視察報告
九州北部豪雨災害の復興状況調査、下水道の「B-DASHプロジェクト」を行政調査
平成30年1月30日(火)
-都市住宅常任委員会視察-
●九州北部豪雨災害
平成29年7月に発生した記録的豪雨は、雨量が9時間で774mmにも上り、同市の7月平均月間雨量の2倍を超えました。これにより、河川の氾濫に加え、大量の土砂や流木が福岡県朝倉市、東峰村を中心に広範囲に流出するなど、これまでに例のない甚大な被害をもたらしました。
死者・行方不明者は38名で、全壊または半壊した家屋は1,104軒、床上または床下浸水は608軒にも上りました。公共施設被害額は約1,100億円で、豪雨災害では戦後最大規模となりました。
●復興状況
被災直後、福岡県管理の国道および県道は延べ173kmに及び通行止めとなりましたが、道路啓開(※1)により、1週間後には約78%が通行可能、1ヶ月後には約95%が通行可能になりました。
また、被害が甚大な河川のうち赤谷川水系については、全国初となる権限代行(※2)による復旧工事が行われています。
なお、河川上流にある砂防堰堤はすべて機能したものの、想定を超える雨量であったため、土砂や流木を食い止めることができなかったとのことで、現在、経済性を勘案しながら総合的な対策が検討されています。
また現在、水位計を小・中規模の河川にも設置することが全国的な流れとなっていますが、福岡県ではそれらをインターネット配信し、県民の安全確保につなげる取り組みが実施される予定です。
●下水道の「B-DASHプロジェクト」とは
昨今、下水道事業におけるコスト縮減や再生可能エネルギーを創出し、併せて水ビジネスの海外展開が各国で検討されています。そのような中、国土交通省が主体となり、「B-DASHプロジェクト」が宝満川浄化センター(福岡県所管の公益財団法人が運営する下水道管理センター)においてモデル実施されています。
同プロジェクトでは実規模レベルの施設における省エネ・創エネ化の技術的な検証を行ったうえで、ガイドラインを作成し、民間企業のノウハウや資金を活用しながら事業が進められています。
そして、新技術のノウハウや蓄積したデータの一般化・標準化を進め、将来的な海外展開を見据え、水ビジネスの国際競争力の強化が図られています。
(※1)道路啓開
緊急車輌などが応急的に1車線でも通行できるように、早急に最低限の瓦礫処理を行い、簡易な段差の補修などにより、救援ルートを確保すること。
(※2)権限代行
都道府県が管理する河川を復旧する際、工事の実施体制や技術上の制約により、都道府県では的確に工事が実施できない場合がある。