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修平の視察報告

富山市のLRT事業を行政調査

平成27年8月7日(金)

-大阪維新の会府議団視察-

●LRTとは

LRT(次世代型路面電車システム)とは「Light Rail Transit」の略で、低床式車両や軌道の改良により、乗降がしやすく、快適性に優れた次世代型の交通システムのことです。また、車両のデザインも近未来的なものが多く、まちの景観や環境にも配慮することで、「都市力」の向上を図ることができます。
国内の路面電車は、現在も17都市・20事業者が運行していますが、これまで急速なモータリゼーションの進展やバス・地下鉄への転換に伴い路面電車の廃止が続きました。
そのような中、平成17年、国土交通省が「LRTプロジェクト」を創設し、交付金を活用した本格的な支援体制が整備されました。

●全国初のLRTが導入された富山市

平成18年、富山港線が全国で初めて本格的LRTとして開業しました。
富山港線(延長約7.6km)は、既存のJR富山港線を路面電車化されたもので、北陸新幹線富山駅の整備や富山駅付近の連続立体交差事業が完成したこともあり、富山市の南北軸の公共交通ネットワークを形成しています。
富山港線の事業費は約58億円で、そのうち約48億円が国からの補助金等で賄われています。
また、「公設民営」の考え方のもと、富山市が施設の建設や維持管理を負担し、新たに設立した第3セクター「富山ライトレール(株)」が運賃収入により運営を行っています。

●富山市「コンパクトシティ構想」

富山市では、今後の人口減少と高齢化に備え、公共交通を基軸とした住居や商業、文化等の都市機能を集積させるコンパクトなまちづくりをめざす構想が提唱されました。
そして、平成18年、「富山市公共交通活性化計画」が策定され、平成19年には、「富山市中心市街地活性化基本計画」が国の第1号認定を受け、新たなまちづくりがスタートしました。

そして、「コンパクトシティ構想」の中心的役割を果たすLRTをさらに整備すべく、富山港線の他にも、富山駅の南側運行している既存の路面電車の富山地方鉄道・富山軌道線(延長6.4km)を延伸・接続し、中心市街地内を環状線化しました。
同事業は平17年に計画が策定されてから平成21年の開業まで、わずか5年という短期間で事業が進めらたもので、市長のリーダーシップに依るところが大きいと感じました。

環状線化の事業費は約30億円で、そのうち約13億円が国費により負担されています。
また、路面電車事業では全国初の「上下分離方式」が採用され、富山市(行政側)が軌道整備や車両の購入を行い、富山地方鉄道(民間側)が車両の運行を行っています。このように、双方の役割を明確化することで、民間側は固定資産税や減価償却費のコストを抑え、行政側は民間活力を最大限に引き出すことができます。

▲富山ライトレールの近未来的な車両デザイン

▲富山ライトレールの近未来的な車両デザイン

▲車両をバックに

▲車両をバックに

▲バリアフリーに配慮された車両と駅のホーム

▲バリアフリーに配慮された車両と駅のホーム

▲静寂性に配慮して整備された軌道

▲静寂性に配慮して整備された軌道