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定例府議会報告

平成26年2月定例府議会(本会議)

平成26年2月定例府議会(2月21日~3月24日)は約3兆713億円(特別会計は約1兆4,131億円、総額約4兆4,844億円)の「平成26年度一般会計当初予算案」など知事提出議案195件、報告案件17件、「議員報酬の3割削減を期間延長する条例案」など議員提出議案2件の計214議案を審議しました。
さらに、府の公益に関する課題について国に要望するため、「アスベストによる健康被害の早期救済と対策の強化を求める意見書」など5件の意見書を採択し、国会ならびに内閣総理大臣をはじめ関係大臣に提出しました。

昨年度の歳入は安倍政権のアベノミクス効果により、法人2税などの府税収入が伸び、前年度当初予算より1,217億円増加し、1兆1,725億円を見込まれています。それにより、平成26年度一般会計当初予算は前年度比6.1%増となり、4年ぶりに増加しました。
予算案には湾岸部の防潮堤補強などの南海トラフ巨大地震対策や、関空へのアクセス強化として、JR新大阪駅から北梅田を経由して、JR・南海難波駅などを結ぶ「なにわ筋線」や大阪モノレールの延伸(門真市~東大阪市までの約9km)など、「戦略4路線」の建設に係る調査費、リニア中央新幹線の大阪への同時開業を求めていくための体制整備費、小学1年生から英語を学べるよう音声による教材の開発費などが計上されています。

また、泉北高速鉄道などを運営する府都市開発株式(OTK)の株式売却については、昨年9月府議会(後半)で優先交渉権者となったローンスター社への株式売却否決に伴い、売却前提条件を見直したうえで、再公募あるいは随意契約の方法について、それぞれの課題の検討が行われてきました。
しかしながら、再公募を実施する場合、あらためてデューデリジェンス(株式評価)をやり直す必要があり、相当な時間と経済環境の変化に伴うリスクが生じることから、この方式を採用しないこととなりました。
そして、南海から前回の公募時を上回る750億円(公募時は720億円)の売却価格と、乗り継ぎ運賃の80円値下げのほか、サービスの向上策については公募時の案を維持されることになりました。さらに、転売禁止期間も15年(公募時は10年)に延長する提案が出されたことから、26年度中に南海との随意契約を交わす議案が上程されることとなりました。

なお、平成23年9月定例府議会から継続審議中の「府議会議員の定数と選挙区割り改正案(自民党提出)」は、自民、公明、民主、共産、無所属の会などの賛成により可決しました。これにより、地元・河内長野市の選挙区割りに変更はないものの、富田林市・南河内郡と大阪狭山市が合区され、定数は3から2となり、柏原市と藤井寺市が合区され、定数は2から1になるなど、9選挙区が再編・統合され、1票の格差は現行の2.89から1.92に縮まりました。
しかしながら、選挙区を再編・統合を進めることで、1票の格差は縮まる一方、合区される人口規模の小さい市町村からは、永続的に議員が選出されなくなる可能性も高いため、大阪維新の会は公職選挙法で謳われている「地域代表制」という地方議員の特性を重視し、この改正案に反対しました。
そもそも、議員定数の大幅削減については、改選直後の平成23年5月定例府議会において、「選挙公約」を実現すべく、大阪維新の会が「府議会議員の定数を現行の119名から88名に削減(21名減)する条例案」を議員提案し、わが会派と一部の会派のみで可決(自民、公明、民主、共産などは議決に不参加)したことから議論がスタートしていました。

また、低所得世帯の高校生を対象とした奨学給付金制度を巡り、国の基準に沿って、一律に現金支給するための修正予算案を公明党が議員提案し、この議案についても、自民、公明、民主、共産、無所属の会などの賛成により可決しました。
しかしながら、単純に現金支給することは、給付の対象となる制服代や定期代などが本来目的に使われるかどうかが不明で、バラマキにつながりかねないことから、大阪維新の会はこの修正案に反対しました。

現在、大阪維新の会は府議会で過半数割れしているため、今後も議案の採決にあたっては、大阪維新の会を離れた無所属の会をはじめ、他会派との協調関係を築いていく必要があります。そうした中、わが会派が中心的な役割を担ってきたこれまでの府政運営に支障を来たすことも予測されますが、一方で、大阪維新の会内での議論が、より活発に行われることになり、様々な政策課題を多面的に捉えることができると考えております。

-平成26年度の主な新施策-

●リニア中央新幹線の整備を促進

リニア中央新幹線の大阪までの同時開業を国などに求めるため、官・民連携体制の整備と必要な調査研究を進める。

●災害支援における物流システムを構築

南海トラフ巨大地震の被害想定により、救援物資の備蓄量不足や物流の機能不全が見込まれることから、災害支援における物資供給や物流システムの構築に向けた調査を行う。

●女性の就業を促進

若年女性の就業意識に関する深堀り調査や、働き方の選択肢を増やすための起業支援を行うなど、女性の就業機会拡大のための取り組みを実施。

●「商店街サポーター」により、地域商業を活性化

地域の底上げにつながるアイデアを持つ団体などを「商店街サポーター」として募集し、府内の商店街とマッチングさせることにより、多様な取り組みを推進。併せて、先導的モデルとなる取り組みを府がバックアップ。

●「農」を活用した障がい者雇用の促進

「農」と「福祉」の連携強化を行い、障がい者雇用を進める企業などの農業への新規参入を促進し、「農」の分野における障がい者の就労支援と企業の多様な担い手の参入を図る。

●重症心身障がい児者の地域ケアシステムを構築

医療機関の空き病床を活用して、短期入所により重症心身障がい児者の受け入れを促進するなど、医療と福祉のサービス基盤と重層的な地域ケアシステムを構築。

●英語教育をさらに推進

府内7中学校、20小学校を指定校とし、コミュニケーションツールとして英語を話せる児童・生徒を育成するとともに、担当教員の専門性と指導力の向上を図る。

●保育の緊急確保策

平成27年度から実施予定の「子ども・子育て支援新制度(※)」への円滑な移行を図るため、小規模保育の運営支援や幼稚園における長時間預かり保育など、新制度に対応した事業を先行的に実施する市町村に対し、必要な経費を助成。

(※)子ども・子育て支援新制度

各市町村が地域の実情に応じた子ども・子育て支援事業計画を策定し、幼児期の教育、保育、地域の子ども・子育て支援を総合的に推進する新しい仕組みのこと。
保育所などを「認可制」から「指定制」にあらためるなど、新規参入を促し、保育の量的拡大を図ることで、待機児童の解消を目指しています。
また併せて、職員の処遇改善などにより、教育・保育の質的改善を図るとともに、「放課後児童クラブ」や「一時預かり」、「地域子育て支援拠点事業」など様々なニーズに対応できる子育て支援策の充実を図ることを目的としています。
複数の地方公共団体や特別区が行政サービスを共同で管理・運営するために設置する組織のことで、現在、隣接する中・小規模の市町村がごみ・し尿処理や消防、火葬場管理、障がい者施策などの事務が行われています。

-意見書-

1)過労死防止基本法の制定を求める意見書

2)「手話言語法(仮称)」制定を求める意見書

3)2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた環境整備及び地域における取り組みへの支援を求める意見書

4)災害時多目的船の導入を求める意見書

5)アスベストによる健康被害の早期救済と対策の強化を求める意見書